最近、僕のロングボード・スタイルは少しライトウエイトなものがメインでした。
切り返しのセクションが多い地元・福岡の波ではその方が扱いやすく、ショルダーの短い一瞬にレールをセットし、ノーズライディングを決める。即座にステップバックしてカットバックやローラーコースターへ。そんなスピーディーなシュチュエーションがここ日本海、福岡の日常だからです。

先日、いつものポイントで波乗りしていた時のこと。以前僕が制作させていただいた、オール8ozボランで重厚にラミネートしたレッドウッドトリプルストリンガー、Dフィンのグラスオンで9’8”・60’s styleのPIGに乗っているメンバーさんに遭遇しました。
「ちょっと、乗せてもらってもいいですか?」
「もちろん!」と快諾いただき、ニーパドルで沖へ向かう。
少しだけ吹く風で海面はそんなに整ってはいなかったけど、どっしりとしたそれは、そんな事お構いなし。スゥーっとした滑り出しから、重たいボード特有の、ドリフトしていくようなトルクフルなターン。フェイスにレールを入れながらステップすれば、あとはオートマチックでセクションを切り裂いていく。
「あ〜やっぱりロングボードはこれだな」と、わかっていながら、わからされる。
ソフトなレールが波に食い込む感触。その重たい挙動を抑え込もうとする時にこそ、自然と生まれる「身体のアーチ」。そこにこそサーファーの「Style」が宿る。その感覚を思い出させてくれました。

僕は年に何度か、新しいボードをテストします。
それは「新しいデザインが閃いた場合」と、「既存モデルの確認のため」の2通り。そこにトレンドや、「今の自分」の気分を乗せていく作業です。
最近の僕の制作するロングボードは、アメリカというより、ややオーストラリアのボードにあるような「洗練されたレール形状」にハマっていました。しかし、自分の中で少しマンネリを感じてしまっていたところに「原点回帰」の波が降りてきました。
自分で乗り、その感覚を確認すること。それは、オーダーしていただくお客様に対しての、ビルダーとしての責任だと思っています。

「なぜ、そんなにすぐに色々なボードの形状やイメージを具現化する事ができるのか?」と聞かれることがありますが、その答えはおそらく「リペア」にあります。
現在まで20年、サーフボードのリペアを続けてくる中で、10000本以上のサーフボードに触れてきました。気になるボードがあれば、お願いしてほとんどのボードに乗らせてもらいました。
僕にとってサーフボードの修理(リペア)という作業は、単なる作業ではなく、膨大なデータの収集でもあります。名作と呼ばれるボードのテンプレート、レールの落とし方、ボトムの絶妙なコンケーヴ…..。その引き出しがなければ、自分のイメージをカタチにすることはできません。
良いボードのテンプレートは残し、「あのボードの、あの感じ」という抽象的なオーダーをいただいた際にも、「これですね」と即座に答えられるようにしています。
もちろん、現在は自分のオリジナルを大切にしているので、先人たちのテンプレートをそのまま使うことはありません。しかし、どんな世界でも「守破離」が大切。「良い真似はいずれ自分のオリジナルになる」と信じています。

今回のテストボードは、アメリカのオールドボードに見られるような、ぼってりとした丸みのある柔らかい50/50レール。テールエンドを少しだけアップレールに仕上げました。ノーズの幅をいつもより1/4”広げ、センターも1/8”広く設定。ラミネートはもちろん8ozボランで。
またトリプルストリンガーでのオーダーも増えてきているので、ボードのフレックス具合の再確認もしておきたかった。
最近は弟子ユウヤのスキルアップの為に、仕上げのサンディングとポリッシュを任せていますが、自分もやっていないと感覚が鈍るもの。歪みのないサンディングで顔が映るほどビッカビカに磨き上げました。

孔雀のデイケールについては>>コチラに記事を書いてます

フィンについては、本来ならグラスオン(固定式)で行きたいところですしたが、新たなモデルの開発のため、ユウヤに作ってもらった9.5″ のシングルフィンをセットしました。 最近はフィンもポリッシュ仕上げにするのが気分です。

どんなテール形状にもマッチするレイク(傾斜)を追求しています。すでに数日テストしましたが、少し改良の余地があると感じました。このフィンの進化についてはまた、レポートしますね。

今回のこのボードの乗り味を表現するなら、まさに「Jazzy」な感じ。
早くブーツを脱ぎ捨てて、気持ちよくステップしてグライドしたいです。今年の夏には身体に馴染んで最高なんじゃないかなぁ…
その時にはまた別のイメージが湧いているかもしれませんけどね(笑

Model:STANDARD -Heavy weight-
9’6″ x 23 1/8″ x 3″
Shaped and Glassed by Yoshito Shirouzu
Fin crafted by Yuya Suzuki





