2026年ファーストシェイプ
新しい一年の始まり。気持ちを整えるために、この日は朝からいそいそと海へ向かった。波は期待したほどのコンディションではなかったけれど、冬の空気の中で10本だけサクッと乗って、心地よい疲れと共にファクトリーへ。
まっさらなブランクスを前に、今年もまた「削る日々」が始まります。

前日届いたブランクス達。別注品が多く、アメリカからの輸入のため遅れることもしばしばですが、12月に入荷予定だったものが年明けにようやく届きました。
お待たせして申し訳ありません。このまっさらなフォームから、いよいよ理想のラインを削り出していきます。皆様、楽しみにしていてください。

2026年一発目のシェイプ。
気持ちを引き締める為に最初に選んだのは10フィート、レッドウッド、トリプルストリンガー。この一本から、今年の僕のシェイプが始まります。

様々なカスタムが可能で、こちらはサイドが1/4インチの太さのもの。この堂々とした佇まい、迫力があって本当にかっこいいです。
トリプルストリンガーは重くなりますが、今はフォームを軽くする事もオーダーで可能ですので、お客様のイメージに合わせて最適案を提案しています。
ちなみにこちらは、センターにコンケーヴを入れる設計。その幅にミリ単位で合わせてストリンガーを配置しました。

アウトラインカット。9’6″~11’1″までテストしてきて、今期よりグライダーのアウトラインをブラッシュアップしました。必要なストレートラインはそのままに、ノーズのラインをややシャープに。オフショアでのテイクオフ、滑走時での巻き上がりを軽減し、よりスピード感を味わえる仕様となっています。

シェイプしたフォルム。



個人的にトリプルストリンガーの好きなところが、このレールの部分。柔らかいフォームと硬いウッドを綺麗な曲線になるようシェイプする。腕の見せどころ。指先に集中し、ミリ単位でアウトラインを追い込んでいくこの時間は、シェイパーとして最も贅沢な時間でもあります。


今回ラミネートは「ボランクロス」で、ボトム8オンスとデッキ6オンス2層。ちなみにボランクロスというのはクリアーの樹脂でも淡く緑がかったガラスの瓶のような、なんともいえないクラシカルな色合いに仕上がります。これは10オンスや8オンスだけと思われている方も多いですが6オンスもご用意しています。
最新のサーフボードは「より白くよりクリアーに」というのが主流なので「シラン処理」されたガラスクロスを使っているファクトリーがほとんどですが、僕のファクトリーではイメージに合わせて使い分けるようにしています。

ちょうどこのフィンパッチの部分(強度を出すために2層になっています)を見ていただくとガラスの濃淡が出ているのがわかると思います。


サンディングして仕上げていきます。サンディングは単なる削り作業ではありません。樹脂のバリや、繊細な凹凸を、番手の異なるサンドペーパーで幾重にも整え、最終的な「傷取り」へと追い込んでいきます。
僕たちが最も自信を持っているのが、この鏡面(ポリッシュ)仕上げです。この輝きに辿り着くための「黄金比」を見つけ出すには、膨大な時間を要しました。誤魔化しが一切きかない鏡面仕上げは、シェイプから始まる下地のわずかな歪みさえも露呈させます。だからこそ、その圧倒的な平滑さと輝きは、僕たちの妥協なき仕事の証です。

レッドウッドがポリッシュによってゴールドのように引き立っています。








フィンはオリジナルブランド『SYNCHRO(シンクロ) Custom fins』
グライダー専用に作ったアウトラインの9,125インチ。




今回で3本目となるオーダー、誠にありがとうございます。
所有されているボードは全てクリアー。その一貫した美学や音楽への造詣の深さに、刺激をいただいています。お店をオープンした際にはStonesのオリジナルプレスLPを全盤プレゼントしてくれたりと、「オトナだな〜」と背筋を正されました。
還暦という節目を前にした、少し早めの自分へのプレゼント。そんな大切な一本をお任せいただけたことに心から感謝いたします。
これから、このボードが海での時間に寄り添い、歳を重ねるごとに深みを増して行くはずです。
改めて、オーダーありがとうございました。
また海の話、そして音楽の話を聞かせていただけるのを楽しみにしております。
Glider : 10′ x 22 1/2″ x 3 1/8″
Shaped and Glassed by Yoshito Shirouzu
Finished and Fin crafted by Yuya Suzuki





